2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni
 ☆「犬」中勘助(岩波文庫/絶版)

 これはですね、美貌の某人妻(こう書いとかないと後が怖い)から貸してもらって読んだんですが、四十分もあれば読めてしまうくらい短いのに、とてつもなく深いところに連れて行かれちまいました。ストーリィも単純、登場人物も数人だけ。でもここに書かれているのは、男と女が繋がるとはどういうことなのか? 性の快楽というものは両者が繋がるための有効な手段足り得るのか? そして「子はかすがい」というのは快楽の果ての結果を誤魔化すための言い回しに過ぎぬのではないか? といった極めて本質的なお話なんですね。さわりを言っただけでも、ほとんどネタ割れ状態になってしまうので、とにかく読んでもらうしかないのですが、人間の雌雄だからこそ性力が及ばないややこしい部分があるってことですか。 本書は男と女の関係を描くすべての小説の核の部分を「ぽん」とそこに置いてみせているわけで、言い換えればこれ以外の男女関係小説は贅肉を削ぎ落としゃたったこれだけ、セコい天麩羅蕎麦に入ってる海老みてぇなもんだってわけですね。 こういう本を絶版にするなんて編集部の見識を疑いたくなります。私は速攻で古書ネットで検索かけて取り寄せ、門外不出本にしましたが、もうあまり残っていないようです。読んでみたい方はお早めに。
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# by lunaluni | 2007-12-20 00:52