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2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

マツモト・選 2008年度

◆『ドキュメンタリーは嘘をつく』 森 達也
 
今年刊行された同じ著者の『死刑』も推します。『死刑』は一
部ではかなり話題にもなったようです。
でも、とことん主観や主体にこだわり続ける著者の基本精神と
いうか武骨さをこっちの本で知ってから『死刑』を読んだ方が
いいのではないかと思います。
今の上っ面な風潮にはとても新鮮…というより、必要なことが
書かれている気がするんですよね。
一歩間違えるとうさんくさいんですけど。


◆『出星前夜』 飯嶋 和一

飯嶋さんの小説の中では正直、私にとってはベストではありま
せん。
でもねー、やっぱり凄い!です。
4~5年待たないと新作が読めないというありがたさが下駄を
履かせているかもしれませんけど。

<時代小説>というジャンルがありますけど、それとは別に<
時代(飯嶋)小説>というジャンルがあった方がいいんじゃ
ない?と思ったりします。
島原の乱を扱ってて天草四郎がチョイ役っていうのが好み。
歴史こそ、想像力を駆使していろんな解釈を楽しめる分野かも
、と思いました。


◆『かもめの日』 黒川 創

勝手に「俯瞰小説」と名付けました。
読み終わった直後より、その後じわじわと自分の内部のなにか
を侵食してくる感じの小説。
同時進行で語られる世界のそれぞれの収束のさせかたが、お約
束じゃなくてカッコイイ。
伊坂幸太郎の『終末のフール』と迷ったけれど、こっち。


◆『最期の声』 ピーター・ラヴゼイ

久しぶりに読んだダイヤモンド警視シリーズ。
なんと!シリーズの主要登場人物だった主人公の愛妻ステフが
殺されてしまいます。
その掟破りとも思える内容はともあれ、ミステリとしてすごく
出来がいいと思います。
主人公の悲しみに同化してグッとくる結末が見事。
翻訳ミステリは、ジェフリー・ディーヴァーの『ウォッチメー
カー』も良かったけれど、1つ選ぶならこっちですね。

タイトルは原題の『ダイヤモンド・ダスト』にして欲しかった



◆『良心をもたない人たち』 マーサ・スタウト

いや~、いろいろ考えさせられる本でした。
全て納得、というわけではないのですが、この本に書かれてい
ることを踏まえると、その言動がとても理解しやすくなる人が
いることを知りました。
ちなみに自分は、良心なんて絶対視せずに疑問視していた方が
人間関係を間違えない、と思う派です。
でも、それでもいろいろ落とし穴はありますねー。
by lunaluni | 2009-01-02 22:15