2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

シン@⊿S・選 2005年度

 「ウロボロスの波動」林 譲治(ハヤカワ文庫)

 ワタクシ、最近の日本SFを勉強中。
 これはハードです。内容も描き方もハードです。いやもちろんハードSFですよ。(あらぬ意味を想像しないように)
 ハードSF的なガジェットを説明もなしに、ぽんぽんと投げ出されてきます。そのSF的なガジェットについていく間もなく、繰りだされてくる、『線表(せんぴょう)』、『水糸(みずいと)』などの言葉、これらのあまり一般的でないが、本物の技術屋言葉。そういった細工で、お話により一層現実感を持たせることに成功しているように思います。
 だから、一回読むことでで理解するのは困難でしょう。解説の小川一水氏の意見に同じく。読者の立場からは、2回3回と飽きずに読めて、理想的(経済的)であるとも言えます。しっかり2回続けて読みました。 うん、満足。

 「コロボックル・シリーズ」佐藤さとる(講談社)

 このシリーズ、子供の頃に好きで全部読んだと思っていたのですが、どうも全部は読んでいなかったようです。小学校を終えるとこのての本は一時的に読まなくなっていたもので・・・
 子供の図書館へ行って、全巻借りてきて読み直しました。やはり「星から落ちた小さな人」以前(子供の頃)読んでなかったようです。
 さて、他でも書きましたが、ワタシと佐藤さとる氏とはどうも同郷のようで(年は一世代違いますが)。そのせいで、このシリーズにあらわれる山・川の姿、町並みが妙になつかしい感じするのです。 
 特にこの「星から・・」が、故郷を思わせる描写で、一番ワタシの好みでした。
 ことに、このシリーズ別巻についている『あとがきにかえて』の一文は著者のファンタジーに対する姿勢がうかがえて興味深いものでした、引用してみますと
 『・・・常識の世界の中に非常識をどこまで自然にわりませることができるか、ファンタジーの限界ぎりぎりのところに立って、挑戦することにしたのですから。』
 この文はもうほとんどSFの定義といって良いじゃないですか!
 さらにはコロボックルの世界の設定の説明も詳しく書かれていてただただ感心しました。たとえば、コロボックルの食べ物についても、コロボックルの代謝量と体重に対する関係までまで、きちんと設定/計算されている様子も うかがえ、ただただ感服しました。(スイフトだってガリバー旅行記でしているのですが・・・)。なぜ、コロボックルが装着式のオーニソプターで飛行できるかも計算しているのでしょうね。
 これはもしかしたら自分では意識してなかったが、ワタシのSF履歴のルーツなのかも知れない。
(参考:「ゾウの時間、ネズミの時間」本川達雄 中公新書)

 「南軍騎兵大尉ジョン・カーター」吉岡平(ソノラマ文庫)

 本年度の中年SFファンへの贈り物。
 そうか、ジョン・カーターはこういう人生を歩んできた人なのかと思わず納得してしまうほどの出来栄えです。
 全体の話の組み立ても、とある町での冒険とか、思わぬ生物との遭遇とかの挿入とか、お話の運び方もまるでバローズの言霊が憑いたかのような出来栄えです。
 ああ、惜しむらくは、武部元一郎画伯がご存命ならばなあ。
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by lunaluni | 2007-12-24 22:11