2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

きじま・選 2004年度

 「音楽を聴く」片岡義男

 片岡義男というと、角川文庫で軽い読み物がやたらめったらたくさん出てるロンサムカウボーイのひとというイメージがあった。ポップ音楽を聴き始めた頃にいちばん安くていちばん役に立ったのは彼が訳した「ビートルズ詩集」だったし、ラジオの「気まぐれ飛行船」は結構好きで聞いていた。でも、信用ならねぇぞとずっと思ってた。
 数年前に「僕はプレスリーが好き」を古本屋の軒先でふと見かけて、ぱらぱらと読んでみた。面白かった。自分の体験を語りながら、思い出話や自慢話でない、自分の体験なのに探りを入れながら書いているようなかんじがした。「音楽を聴く」(1998年11月)のことは知らなかった。読んでみたら、やっぱり体験を語っているのに、探りを入れている。このひとのなかで、聴くということと知るということは平行して起こるのだと思う。だから、音楽そのものや演奏者についての知識だけではなく、CDやレコードといったメディア、それを探すということ、それをかけるということ、ライナーを読むということなどに興味が広がっていく。とても親近感がありました。
 続編「音楽を聴く2」が2001年6月に出てます。

 「ボサノヴァ」B5ブックス(林伸次、保里正人)

 CDサイズ、210ページ、だけど見かけによらず、濃い一冊。失意のうちに故郷に帰っていたジョアン・ジルベルトが、この世の春を謳歌していたギター青年ロベルト・メネスカルの前に新しいギター奏法とともに現われ・・・というボサノヴァの物語は出来過ぎの伝説のように繰り返し語られている。この本でも語られているけど、伝説を共有するように熱く語ったりはしません。いやみなくらい、語り口は軽い。たぶん、わざとだと思います。ボサノヴァ以前や当時のブラジルの情勢、ポルトガル語の発音問題、レコードを聴いていてふと感じる疑問など濃い話題を用意しながら、べつに知らんでもかまへんよという風情です。リスナーはほっといてもどんどん聴いてしまうものだという自信(?)すらうかがえます。聴いていって興味を持ったら読み返してみる、そしたら書いてある。そんな読み方ができそうです。CDサイズというのも、おしゃれなだけじゃなければ、ありかなと思いました。CDの収納箱といっしょに並べられます。

 「ぐるり」ビレッジプレス(東京事務所)

 東京・中央線沿いの情報誌。つまり、大阪に住むわたしには、まったく実用的でない。秋に、東京に遊びに行ったときにスズキコージのインタビューが載っていることにひかれて手にとったのだけど、店やイベントの押し付けではない、なんかこんなおもろいことがありまっせという古の情報誌に近いものを感じました。そうした古の情報誌のひとつ、プレイガイドジャーナルにいたひとがやっている出版社から出ていることを知ったのは買ってからです(ただし編集は当時を知らない若いひとがされています)。役に立たないけど、定期購読しようかなと思っています。

 「ナンダロウアヤシゲな日々 本の海で溺れて」南陀楼綾繁

 ミニコミ好き、古本好き、かつ現役ばりばりの編集者によるタイトル通りの本についてのあれこれ。書評もあれば、版元へのインタビューもあれば、古本探索記や本屋めぐり記もある。本について、と書きましたが、正確には本から始まってひとへ、ひとから始まって本へ、あるいは別のモノたちへと興味が広がり、また本に戻ったりひとに結び付いたり、そうしたことを日々やってる様子が伝わってくる本です。知人ですので、なんですが、知人でなくても買ってたと思います。

 「ライトブルーペイジ」ほか(さべあのま全集)さべあのま

 快挙でした。
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by lunaluni | 2007-12-23 23:14