2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

きじま・選 2001年度

「栗Q(コーダー!)本」栗コーダーカルテット監修(栗コーダー財団)

レコードに解説はいらない、年表とディスコグラフィとインタビューがあれば勝手に調べます、と常々考えている不遜なわたしには願ったりかなったりの本です。

1999年8月に、当初はライヴのパンフレットとして企画されながら、紆余曲折あって、遅れに遅れて、2001年2月(実績)に出たリコーダー四重奏団「栗コーダーカルテット」の活動を記録した160ページの資料集。内容はと言えば、もうなんちゅう か、これまでの活動をふりかえってのメンバーの座談会+演奏曲目一覧、各メンバーのこれまでの歴史と多岐に渡るお仕事の紹介、使用楽器の紹介などなど。カルテット の全貌とメンバーのひととなりが伝わってくる入魂の一冊です。 付録として、レアトラック満載のCDが付いてくる、はずだったのだけど、現在はこのCDが『公式BOOTLEG』というタイトルで販売されており、その付録として「栗Q本」 がついてくることになっています。


「盲目の音楽家を捜して」チチ松村(メディア・ファクトリー)

チチ松村さんは、「ぐっとくる」音楽の演奏者にどういう訳だか盲目のミュージシャ ンが多いそうです。それで、タイトル通り、盲目の音楽家のレコードを捜して聞く、 その成り行きをまとめたものです。ぐっとくるのが聞きたいというのが目的で、どう いう訳だかは探りません。 2001年春に本屋さんで見かけたとき、95人の名前がずらっと並ぶ目次から紹介本のよ うに受け取ったのですが、ぱらぱらとめくってみると、いつも通りの面白エッセイ風 で、あまり紹介になっていない。ディスコグラフィなどの情報が添えられているわけ でもない。だから、紹介本としては、「いまいち」と思ったのだけど、この本は、紹 介本ではなかったのだ。音楽(とその媒体であるレコード)を好きな人が、どんな風 にある音楽を気に入り(気になり)、さがして、手に入れ、楽しんでいるかを綴った 本でした。

現在も大阪在住の方なので、登場するレコード屋さんが知ってるし、よく行くような店ばかりなのもちょっとうれしい。 この本を読んで感激していた頃は、半年後、おのれがそうした探索話の中に巻き込ま れることになろうとは思いもよりませんでした(NHK-FMの番組のために、氏が捜して いたレコードをお貸ししました)。偶然が偶然を読んだ「風速50メートル事件」の顛 末について詳しくお知りになりたい方(いるのか?)は、2002年2月10日に、大阪・ 弁天埠頭の「喫茶梅星」で行われる足立大輔(この本にも登場する松村氏の旧友のS SW)/浅野大志(低脂肪乳の名で活動している若きSSW)ジョイントライヴにお 越しください。氏の寄稿もあるパンフレットが配布される予定です。

「ティ・フォー・トゥー物語」村尾睦男(中央アート出版)

ネット通販を利用することが増えてきていますが、これは、本屋さんで見かけて手に 取った一冊です。ジャズのミュージシャン・ジャズスクール講師という著者も出版社 も知りませんでしたが、「ティ・フォー・トゥー」という歌の伝記を書くために、 「ティ・フォー・トゥー」を生み出した土壌であるアメリカでの「ポピュラー音楽」 の始まりから筆を起していて、そのあたりの、なんとなくは知っていても、実のところはよくわからないことが読めるのなら、勉強にもなる(引用文献から手がかりも得 られる)と考えた次第です。 なにしろ、よくわからない分野のことなので、深度、確かさの判定はできませんが、 話がよく整理され、まとまっているという印象を受けます(音楽ヒョーロンカ改め音 楽ライターの方々の書評をうかがいたいところです)。面白いのは、ひとつの歌が生 まれ、歌われ、演奏され、歌い継がれていくことで変わっていく様子を、コード進行 や追加省略、演奏のしかたなどの面から語るとともに、ポピュラー音楽界の様相の移 り変わりとあわせて検討していることで、ほんとうに伝記のように読めることです。

ちょっと高いな(2500円)と思ったのですが、買ってから、著者自身が、進行の変遷 を弾き分けた参考CDが付録として付いていることに気が付きました。著者自身がナ レーションを入れていますが、「えー」なんて言ってるのが微笑ましいです。
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by lunaluni | 2007-12-20 23:42