2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

マツモト選・2009年度

◆『女中譚』 中島京子
林芙美子『女中の手紙』、吉屋信子『たまの話』、永井荷風『
女中のはなし』という「女中小説」3編を元ネタにした、3章か
ら成る1編の長編小説です。
自己呪縛をキツくして凝った構成で小説を書かせたら中島京子
さんは当代随一だと思います。
・・っていうか、今、こんなめんどくさい手法(?)で小説を
書こうとする人はこの人しかいないでしょうね。
当代随一ではなく、当代唯一?
読後に、元ネタ『女中の手紙』を読んだのですが、「これをあ
んな風に膨らませたのか」と、ますます中島京子ってすごいな
、と思いました。
『女中譚』、登場人物はみんな活き活きしてるし、昭和初期の
時代のきな臭さがすごく伝わってくるし、構成の妙に感じ入る
し、とにかく面白い小説ですが、それプラス、著者が小説を書
くことを楽しんでる感じが伝わってくるのがいいです。


◆『不細工な友情』 光浦靖子・大久保佳代子
お笑いコンビ、オアシズのふたりの往復書簡。
不細工で幸薄さをウリにしている、偏差値だけは高い毒舌キャ
ラのふたりの、赤裸々かつ予定調和なしのやりとり・・という
予備知識があって読んだとしても、予測を軽く凌駕するイタさ
、重さだと思います。
最初の数ページこそ、「どこまでがネタ?」的半笑いで読み始
めましたが、すぐに自分も真顔、そして渋面から苦悶、みたい
な。
いや、だからといって、この本をガチンコだ、と言っているわ
けではありません。
公表を前提にしたやりとりなのですから、それはある意味、全
編丸ごと立派なネタでしょう。
ただ、書簡の中で芸能人として腹を括りきれないことを繰り返
し訴える大久保さんと、それに対する光浦さんの苛立ちはリア
ルで息苦しいくらいです。
ほどほどのさじ加減を知らない芸人の日常はさぞやキツいんだ
ろうなあと思わされます。
読み終わってけっこうぐったりしました。


◆『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎
純粋に楽しめました。
実は初期の頃の伊坂作品の方が好きだったりするのですが、こ
れは久しぶりに一気読み。
読んでいるうちにふつふつとタイトルになっているビートルズ
の曲を聴きたくなります。聴きました。それを聴くと、更にこ
の小説が味わい深くなります。
・・なあんてもっともらしいことを書いてますけど、半年以上
前に読んだので(たぶん)、細部はほとんど忘れています。
一推し本にこれを挙げたのも、昨日ネットで映画版の予告編を
見たからかもしれません(笑)。
映像より、流れていた「ゴールデンスランバー」にグッときま
した。
音楽の力で、も一回、読みたくなってきました。
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by lunaluni | 2010-01-09 22:52