2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

こま選・2009年度

野間宏「青年の環」河出書房、岩波文庫

全六巻、八千枚の大長編。河出書房の五冊本で三十年ぶりに再読。いやあ、これは止まらない、止められない、で熱中して読んでしまった。粘りっこい文体なので一気に、とはもちろん読める代物ではないが、日中戦争最中、第二次大戦へ傾いてゆく昭和十四年(だったかな。歳でもう忘れてしまった)夏の大阪を舞台に経済界の大物から被差別部落民までが恋愛と利害で様々に絡み合いう「全体小説」。五台の重戦車が轟々と地面を揺るがして進行していったような読後感。元気なうちに読んでおくと、何かといい小説だ。こんな長い小説を読破した人は少ないに決まっているから、まず自慢できる。登場人物が日本人ばかりなので、海外の長編小説のカタカナ名前と違って覚えやすい。これを読んでから「第三の新人」たちの小説を再読して、あれれ色あせてしまった。
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by lunaluni | 2010-01-01 04:10