2010年度版、アップしました。(2011年1月15日)


by lunaluni

レオ選・2009年度

◎「この世でいちばん大事な『カネ』の話」 西原理恵子著(理論社)
   西原の子供の頃のから、大学生、マンガ家になってからの
  「カネ」にまつわる話。
  貧乏がどれほど「未来」を失くしてしまうか、
  子供頃の実体験が切ないなー、
  スーパーで出会う、不良っぽい子供達も、
  こんな体験があるのだろうかと、考えてしまった、おせっかいだな。
  西原の今の成功に、彼女の真摯で必死な姿がある、やっぱり凄いです。

◎「星新一:1001話をつくった人」 最相葉月著(新潮社)
    星新一氏の伝記。 「星製薬」って会社があって、社長の息子であることは知っていたが、
 父親「星一」氏の偉大なる「遺産」の重圧と、その清算の出来事はまったく知
 らなかった。 
 飲み込まれつぶれてしまいそうな事件が続発するなかで、
 SFの黎明期、(そのころのSF小説に情熱をかけた人々の姿があってこそ、
 中学生の自分がSFを知ることが出来たんだ)、
 そんな頃に作品を書き始めたのは、生きる力だったのだろうな。
 SFの世間への認識を高め広めた星さんが、
 「文学賞」を欲しがっていた、そうだよね、「認められる」事は力になる。
 1001話(もっと多いが)完結した後、開放感と体調不良とで、弱っていく
 のが寂しい、 
 もっともっと評価が高くてもいいと思った。  
        
◎ 「有頂天家族」 森見登美彦著(幻冬舎)
    京都の街に住む「天狗一族」「狸一族」「人間」のお話。
  天狗の「赤玉先生」は、「如意ヶ嶽薬師坊」と呼ばれた偉大な天狗で、
  大学で教鞭をとっていたが、今は引退し小さなアパートで逼塞している、
  教え子である「下鴨矢三郎」は、なにくれと面倒をみていた。
  矢三郎は、偉大な狸「下鴨総一郎」の三男であり、父亡き後、四兄弟と母と
  暮らしている、 「狸族」の代表選抜騒動、人間の「弁天」や「金曜倶楽部」の面々、
  京都の街では、騒動が起きます。
  楽しかった! 面白かった!京都に彼らが本当に棲んでいそうだよ、
  三部作らしい、続編も楽しみだ。

◎ 「吉原手引草」 松井今朝子著(幻冬舎)
  花魁「葛城(かつらぎ)」の失踪事件を追う「戯作者」が、
 葛城に関わった人々「手引き茶屋おかみ」「見世番」「番頭」「新造」「客」
 「やり手」等々から、話を聞き、謎の真相にせまっていく。
 「吉原」が初めてという設定なので、読みながら「吉原」の仕組みが分かって くる、
 その中に「葛城」の姿が浮かび上がってきます。
 全編インタビューですが、それぞれの立場からの話が面白い、
 さすが「松井今朝子」でしょうか(何がだ!)、最後まで驚かされます。

◎ 「チャイルド44 上・下」 トム・ロブ・スミス著(新潮文庫)
   帯の「2009年このミステリー海外編1位」に惹かれて買った、
 スターリン圧政下の旧ロシアが舞台、1933年から始まります、
 国家保安省の上級捜査官「レオ・デミドフ」は、
 同僚の子供が死亡した事件の捜査を命ぜられるが、遺体さえ見ずに「事故死」
 とする、
 そうすることが「政府」の意向で、反対するものは「収容所」がまっているの
 だ、 恐怖政治下の人々の、家族でも「監視」しあう恐怖、劣悪な環境、
 疑われてしまったら、「無実」であっても拷問でスパイとされて処刑だ。
 そんな捜査官レオは、自分が疑われて地方に飛ばされてしまう、
 みじめな「人民警察官」となり、そこでも「子供」の殺害事件に出会う、
 その状況はモスクワでの同僚の事件と酷似していた、
 役人そのもののレオが、連続児童殺害事件を追い始める・・・。
 圧政下のソ連の生活が、生々しくて引き込まれて読みました、
 妻との関係も、妻を認めたところから再生していく、
 ミステリーなんだが、謎解きだけではない力強い小説だった、
 「このミス1位」、納得だ。
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by lunaluni | 2010-01-01 04:04